「生きていくには金がいる」
金を稼ぐ為には働く必要がある。
ところが現実社会はニートにホームレス、仕事にありつけない人間や働く意志の無い人間で溢れ返っている。
「生きる」という事についての定義に違いはあるにしろ俺には彼等がただ呼吸しているだけの骸にみえる。
そしてその原因が景気の悪さだとはとても思えない。
問題は経済ではなく一人ひとりの精神、いわば思考の中にある。
失業者は勿論、労働者でもその大半が自分を不幸にするその思考に侵されている。
彼等の関心事は常に「楽をして稼ぐ事」。
「得る歓び」の虜で「与える歓び」を知らない。
だから解りやすい話、彼等のセックスはたかが知れている。
思い巡らす事は相手に何をして貰いより深い快楽を得るか……。
俺に言わせりゃその調子じゃ一生本物の快楽なんか味わえない。
気持ち良くなりたきゃまず跪いて舐めろ!
自分に出来る事を精一杯やれば女も社会も快く受け入れてくれる。
欠乏の中で喘ぐ弟たちよ。
豊かさは決して奪い合いの中に生まれ得ないと知れ。
与え続ける事のみが豊かさを享受する唯一つの方法だ。
仕事を通して世の中に自分の人生をより鮮烈に表現する事が「生きる」という事だ。
今のご時世、求められるヒーローは銃弾の雨をかいくぐるマッチョマンでもネガティブな人生観を溜息混じりに吐き出すペシミストの探偵でもない。
例え世間から弾きだされた奴にでも仕事を探しそいつの人生を取り戻す手伝いをする、この俺、堀渕善之介だ。