岡山県のとある学生街に「アパートさちえ」という場末のアパートがある。
その一室の窓に何時頃からか「就職情報HAPPYWORK」のロゴが入っていた。
そこに行けば例えどんな過去を持っていても、今がどんな状況でも働く意思さえあれば堀渕という男が仕事を探してくれると言われている。
しかもその堀渕という男は相当のお節介で、悩める若者の相談に無償でのり今では多くの若者にとって駆け込み寺のような存在となっている。
そのHAPPYWORKには沢山の人生が交錯していて……
きっと今日も誰かのドラマが繰り広げられている。
堀渕善之介はアルバイトのボブと共に『就職情報ハッピーワーク』で仕事の斡旋を通して世間に失望した人々に希望を与える仕事を生業としている。
そんなある日、ボブが風俗嬢(涼子)に熱を上げ、その恋人(安西)と衝突するという出来事がある。
翌日、涼子はハッピーワークを訪れ、自分の身の上を堀渕に相談する。
そして堀渕との会話で安西と一緒に幸せになれるという希望を見出す事が出来たが……
その頃、既に安西は友人の武藤と共に暴力組織『篤誠会』に拉致されていた。
篤誠会の木庭に追い詰められた安西を助けにいく涼子。
涼子に失恋したボブは悩みながらも涼子を救うために篤誠会に乗りこむ決意をする……。
● 人々(特に若者)の、方向付け出来ていない労働力や才能を
建設的に活かす為の示唆を与える。
● 責任転嫁する事を止め、自分の置かれた状況に責任を持ち、
それを向上させる意識を育む。
本作品のテーマは上記の2点に集約されています。
各々が自らの目標達成や生活水準の向上の為に、喜びを持って社会貢献(仕事)に勤しめば現在問題視されている社会悪も、個人的な問題もその殆どが鳴りをを潜めると思われます。
サミュエル・スマイルズは名著『自助論』で「国の価値や力は国の制度ではなく国民の質で決まる」と述べていますが自分も全く同感です。
社会を良い方向に導くという事については、例えば政治家となり制度を見直す事よりも人々の心に訴えかけ各々の精神の向上に貢献する方が有益ではないかと考えました。
(1) セルフエンライトメント
自分が人生経験を通して最も強く確信している事として自己啓発書や成功哲学書に織り込まれた金言や真理を知る事、実践する事は確実に人生を豊かな方向に向かわせ価値あるものにする大きな助けになるという事。
それは主体性を持って生きれば、自分の望む人生を手に入れる事も可能だという福音です。
この作品に限らず自分のライフワークとして、そういう考えや姿勢を一人でも多くの人と共有できるよう様々な媒体を通して常に発信していきたいと思っております。
(2) パラダイムシフト
ところが現実には唯物論や物質至上主義が大半の人々の考え方でありあらゆる出来事はそのフィルターを通して解釈される傾向があります。
心よりも物。過程は度外視で結果を求め、目に映らないものは認めず見えるものが全てだと疑わない。
哀しい事にその延長線上には欠乏や奪い合いしかありません。
そして現実に人々を取り巻く情報は現状に拍車をかけるネガティブなモノで溢れかえっています。
ナポレオンヒルは成功を「他人の権利を尊重し、社会正義に反することなく、自ら価値ありと認めた目標『願望』を、黄金律に従って一つひとつ実現していく過程である」と定義付けました。
黄金律、即ち「すべて人にせられんと思うことは人にも亦その如くせよ」という姿勢によって必ず豊かさはもたらされるという視点でのメッセージを伝え、人々の心からネガティブな要素を取り除く事に尽力したいと思います。
どんなに素晴らしい考えでも伝わらなければ意味はなく、本は読んで頂かなければはじまりません。
自己啓発書の数々の名著が手軽に手に入り、古の賢者たちの知恵にすら容易に触れる事が出来るに関わらず、現在の風潮には殆ど活かされている様子がありません。
オグ・マンディーノはその福音を小説に落し込み沢山の人に解り易く伝えましたが果たしてそれで十分でしょうか?
素晴らしいメッセージは確かに存在します。今一度それを伝える手法を見直すべきだと提案します。
エンターテイメント性
勤勉が軽視され、怠惰を恥じず、享楽を追い求める風潮が昨今大半の人々に根付いている様に感じられます。
だからこそ人々(特に若者)の精神に影響を与える最も有効な手段は政治や教育や芸術ではなく娯楽の中にあるのではないでしょうか。
しっかりした目的意識(自己啓発や専門知識の勉強等)で、ある効果を求めて義務的に読むという形式では教育に属する読書であり、主体性のある一部の人にしか効果が期待出来ないのではないでしょうか?
読者に、読むべき作品ではなく読みたくなる作品と感じて頂く事が第一の目標です。
そしてフィクションの中にも、現実に多くの人が感じるであろう悩みや不安を出来るだけ織り込みその問題解決として自分で考え得る限り最高ののアプローチを表現したつもりです。
『最小限の文章量で最大限の表現』を目指している為、読み応えを期待している読者にはあまりにも淡白な印象を与えると思いますが、本来の読書家ではなく読書をしない層をターゲットにしており、しかも読破して貰いメッセージを伝える事が目的なのでご理解頂ければ幸いです。